虚無

記録用です。需要はありません。

窮鼠はチーズの夢を見る 感想

このくそでかい感情が処理しきれないのでブログに落とします。

恭一の今ヶ瀬に対する気持ちの変化の過程と、好きな男の言動に一喜一憂する今ヶ瀬の典型的なメンヘラ女みたいな性格が私的な見所だったので、それにフォーカスして記録しました。

釣り堀のシーン
平気なの?どうぞのやり取り。
なつきとご飯行くことに対して、平気なの?って、もう今ヶ瀬の自分に対する好意を受け入れてしまってるし、心配までするのが愛情以外の何だと言うのか。もうこの時点で恭一は今ヶ瀬のこと好き決定。いやもう本能では最初から好きだったんだろうけど。

なつきとの夜ご飯から帰ってくるシーン
今ヶ瀬に落ちかけてたんだけど、たぶん女であるなつきにお付き合いすることを提案されて、もともと自分がいた世界(ノンケ)に戻りたくなったのか、キスを避ける恭一と、それを察して外を歩いてくると言う今ヶ瀬。
だったらそこで振ってやれよと思うんだけど、自分の部屋着を着てるいまがせに変態って言ったり、早く帰ってこいよって言ったりする声と眼差しがやけに優しいのがまじでたちが悪い。
変態って言われて嬉しそうな今ヶ瀬、早く帰ってこいの言葉になんでそんなこと言うの?って顔をする今ヶ瀬。
今ヶ瀬、わかるぞ、わかる。いっそのこと突き放してくれって思うよな。

問題のセックスシーン①
なつきとできなくて今ヶ瀬のいる家に帰ってくる恭一。
映画?うん。のやり取り。平気なの?どうぞと同じテンポで交わされていて、どうやら私はこのふたつの会話が堪らなく好きらしい。なぜかというと、恭一が今ヶ瀬のこと心配してるって分かるから。
今ヶ瀬、恭一はあんたのことちゃんと好きだよ、大丈夫だよ、たぶんあんたに足りなかったのは、恭一の何気ない愛情を汲み取って、受け取ってあげることだったと思うよ。他の女との関わりを一切絶って、毎日愛してると言ってくれることだけが愛情じゃないよと言ってあげたい。
ここまでが前戯。(セックスシーンの前後だいじだよねっていみです)

僕と寝てください。これを拒まれたら、もう一生触らない。
今ヶ瀬のキャラクターってよくいる執着心が凄いメンヘラ女のそれなんだけど、私らみたいなパンピとは違うところは、こういう、~~して、じゃなかったら別れる系の一か八か地雷発言をしかけるタイミングが絶妙すぎるところ。まぁ映画だから当然なんだけど、そこが今ヶ瀬の魅力で、今ヶ瀬をただのメンヘラ女で片付けたくない所以。
今ヶ瀬を引き留めて自分からキスする恭一。恭一は今ヶ瀬を選ぶってはっきり決めたのがこのタイミングってのはFAでいいよね。

今ヶ瀬の誕生日
ワインのプレゼント。もったないから開けません。来年もあげるからそれでいいだろ。
来年も、って言葉に目を潤ませながらめちゃめちゃ大事そうに抱える今ヶ瀬。
来年もとか見えない未来を約束されるようなことをふいに無自覚的に言われると、嬉しいのと寂しいのと信じたいけど信じられない自分がいることに悲しくなるのとずっと一緒にいたいと思うのといっそ今の幸せな状態で終わらせたいって思うのと色んな感情が混ざってその顔になるよな~~~。
痛いくらい分かる。今ヶ瀬くん一生そのワイン開けられないんだろうな…。

ラ・フランス
たまには本来の自分を取り戻して女と寝たいでしょ?なんでそんなこと言うの?

この作品、恭一のことをクズだって言う意見がたぶん圧倒的に多いんだけど、(まあ実際に色々とクズだけど)、私は結構今ヶ瀬も悪いと思っていて、それは私もかつてメンヘラ拗らせ女だったから今ヶ瀬がそういうひねくれたことを言っちゃう気持ちが理解できて、またさらにそれが相手にとって良い影響など及ぼさないことを知っているからというのがでかいのですが。

私はこの映画を見ながらこのふたりがどうにかこうにか上手くやっていく方法を考えてたんだけど(暇)、
このシーンですごく思ったのが、
女と寝たいんでしょ?とかひねくれたこと言っちゃだめなんだってば~。(まあなりたくんが言うと可愛いけど。) いくら好きな人が自分を選んでくれて、彼氏彼女っていう関係になっても、恭一には恭一の人生や考えがあって、他人が完全に手に入ることはなくて、それでも一緒にいたいなら、恭一のことを愛しているなら、信じてあげなきゃだめなんだよ、きっと。どうせ俺のことなんかとか、女を抱きたくなったに違いないとか言っちゃだめなんだよ。

ほんで恭一は恭一で、こういうメンヘラタイプには、そんなことないよお前だけを愛してるよって言ってやればたぶんその場ではまるくおさまるんだ。だけど人間毎日そんな過激な愛情表現をするのって不可能だし、その場でまるく収まったとしてもどうせまたいつか今ヶ瀬みたいなタイプはこういう僻んだことを言うのでやっぱり今ヶ瀬(メンヘラ側)が変わるしかないと私は思います。

愛おしそうな顔でタバコを取り上げて、ばかだねぇお前はと頬を撫でるその手を今ヶ瀬が信じるしか方法はなかったように思える。恭一の今ヶ瀬への愛情を確認できる場面はいくらでも存在するのに、今ヶ瀬にはそれが見えない。このふたりはいつもそう。

今ヶ瀬が恭一を振るシーンに続きます。